鍵のない夜に@ブリュッセル
こないだ書いたスペインでのスリ未遂。
もう20年も前の出来事なんですけどね・・・あの頃の事を思い出してたら、そういえば3週間の旅の中にも色々とネタになるような体験があったなあ・・・と思い出しましたので今日はベルギーのブリュッセルで起こった出来事について書きたいと思います。
3週間ヨーロッパを一人旅していた若き日の私。
ベルギーのブリュッセルではユースホステルに宿泊することにしました。
ブリュッセルに到着したのが早朝で、朝の7時くらいにユースホステルに行って手続きをしたんです。もちろんまだチェックインするのにも早すぎるので荷物だけロッカーに預けて観光に出かけました。
その日私は列車で隣国ルクセンブルグへ行き、再びブリュッセルのユースホステルに戻ってきたときにはもう夜になっていたんです。
ユースホステルに戻ると、もうフロントデスクが閉まっていて人がいません。
具体的に何時だったのかは覚えていませんが多分8時を超えるほどではなかったはず。
困った、部屋の鍵がない!
しかしお金は払ってあるし、受付はしてもらっているので部屋番号はあるんです。
今思えばいくらユースホステルとは言えそんなに夜遅いわけでもないし誰か人はいただろうと思うんですが、誰も見当たらなかったんです。何時に戻ってこいとかも言われてなかったし。
まあ部屋は知らない人との相部屋ですから割り当てられてる部屋にいけば誰かいて入れてもらえるだろうと考え(受付した紙は持ってる)、ロッカーに預けていた大きなリュックを取り出して、部屋に向かいました。
部屋に行きノックしてみましたが、中からの返事はなし。
困ったな~と思っていると・・・
別の部屋に泊まっているという青年が話しかけて来てくれました。
「まだ早いから誰も戻って来てないのかも。少し時間を潰してからまた戻って来てみる」と下にあったカフェエリアで時間を潰すことにしたんですが、彼は私に付き合って下で一緒におしゃべりしてくれました。
ユースホステルのような所には1人旅をしている人も多く、知らないもの同士でおしゃべりしたり、時には一緒に観光したりという事はよくあります。
彼はスペイン人のホアン(今でも覚えている!)と名乗りました。
しばらく下でおしゃべりしてから、再び部屋に戻ってみたのですが・・・。
まだ部屋からは何の反応もない・・・。
ホアンはずっとついていてくれたのですが、そのうちおかしな言動をするように・・・。
目の前には開かずのドア、隣にはもはや敵か味方かも分からなくなってきたホアン。
誰か助けて・・・・と思っていると・・・。
ホアンが急に思いついたように、
「そうだ!僕の部屋の隣に、誰も泊ってないみたいな鍵がかかってない部屋があるんだ。今日帰ってきたときに隣の部屋のドアが開いてたから覗いてみたら、その時は誰もいなかった。僕の部屋は8人部屋に8人いるからさ、僕はそっちで寝たいな~と思ったんだよ。君、もうそこで寝たらいいんじゃない?」
と言い出しました。
ナイス、ホアン!もう私はベッドがあるならどこでもいい!疲れた!
ホアンが連れて行ってくれた部屋には確かに誰もいません。
鍵は開いたまま。
ホアンが「僕もここに寝ようかな」と言い出さないかひやひやしましたが、無事1人部屋をゲットすることができた私。ありがとう、ホアン!
鍵はないけど内側からは鍵をかけることができます。
誰もいない4人部屋。
何故この部屋には鍵がかかっていなかったのか、何か曰く付きの部屋なのか、それとも・・・?
まあいい!私は寝る!
と、ベッドにもぐりこんだところ・・・
ホアンが外から呼んでます・・・。
もう・・・静かに寝かせてくれ・・・。
とても親切なホアン、私の部屋を気にしてまた行ってみてくれたらしい。
本当にいい人。
再び荷物をまとめて本来の部屋に行ってみると、今度はドアが開きました!
最後まで心配してくれたホアン、本当にありがとう。(途中から警戒してごめん)
私が泊まることになってた部屋にいたのは韓国人旅行者のミシェル。
この後仲良くなって、次の日は一緒にブリュッセルを観光しました。
翌日スタッフにこのことを話したら、「鍵ならカフェにいたスタッフに言えばもらえたのに」と・・・。いや、カフェにスタッフなんかいなかったんだけど・・・。
まあ、たいしたトラブルでもなかったんですけどこの夜のことは今でもはっきり記憶に残っています。この旅行中はほとんどこういう相部屋に泊まっていたのですが、今思い出しても本当にたくさんの旅人と出会いました。
初対面のたくさんの旅人と一緒に観光したり、一緒にご飯たべたり、話しをしたり、とても貴重な時間を過ごせたなと思います。
面白い人いっぱいいたなあ。
まだSNSなんてない時代、ほとんどはその時だけの関りでしたが、中にはそのあと連絡先を交換して日本で再開した人もいました。
この先また海外に1人で行くこともないとは言えないけど、やっぱりもうあの頃のようには旅できないだろうなあ。
あれは若いうちにやっておいて良かったと思います。